ゴトッと木彫りの熊を机に置いて、そして気づいたのはひどく甘い匂い。
その発生源は私の机のようだ。
何事? と思いながら自分の机の中を見ると、なにやら可愛らしい紙袋。
紙袋には、これまた可愛らしい紙箱が入っていて、ティラミス・葛まんじゅう・ババロア・コーヒーゼリーなどがきっちり詰められていた。
「ブン太!」
私はくるりと自分の後ろの席を振り返る。
そこにはVサインをしてニヤニヤ顔の丸井ブン太。
「あの、これ、もしかしてブン太?」
紙箱を手に持ったまま尋ねると、ブン太は満足そうな笑顔のままその紙箱を手にする。
「あったり前だろぃ。こんなセンスのいいプレゼント俺様以外誰が考えるっつの。しかもこれ全部俺様の手作りなんだぜぃ」
「へー、ブン太が作ったの!?」
ブン太は箱の中のお菓子を一つ一つ解説してくれる。これは、どこどこの何を使ってどうのこうのって。ブン太、お菓子にはホント詳しいからなあ。
「……それにしても、どうしてこう……生菓子ばっかりなワケ?」
「家から冷やして来たやつをサッサと食うと、めっちゃ美味いからに決まってるだろぃ? ほら、食えよ」
ブン太はそう言うと、中から葛まんじゅうを取り出して、ポンと私の口の中に放り込んだ。
うわ。
つるっとなめらかで、すっごく美味しい……。
私が感動しながらもぐもぐ食べていると……。
ブン太も黙々と食ってるじゃないの!
「ほら、こっちのティラミスも美味いんだぜ」
待ってましたとばかりに、全開でほおばりだすのだ。
「……ブン太、もしかして自分もさっさと食べたいから生菓子ばっかり持ってきた?」
「だって、美味いモンは誰かと一緒に食った方がもっと美味ぇじゃん」
ほっぺたをリスの頬袋みたいにふくらまして、ニコニコ顔のブン太。
そっか、確かにそーだよね。
私もティラミスを口に入れながらニコニコ顔。
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